米国経済は、住宅市場に希望の光を与える朗報で新年を迎えましました。堅調な雇用増に加え、賃金の伸びが鈍化しているという最新レポートにより、インフレ懸念が沈静化し、住宅ローン金利はほぼ4カ月ぶりの低水準に低下しました。また、今後12ヶ月間に住宅価格と住宅ローン金利が低下すると予想する消費者が増え、住宅購入意欲もここ数週間で改善されました。
12月の雇用統計で利上げ懸念が緩和
先月の雇用者数は前月から小幅に減速したものの、非農業部門雇用者数は22万3千人増となり、年末の好調を維持しました。失業率も3.5%まで低下し、1969年以来の低水準に達しました。12月の雇用者数は予想を上回ったものの、11月の賃金上昇率はやや緩やかなペースとなりました。昨年末の平均時給は、前月の4.8%から4.6%に上昇しました。労働参加率もプライムエイジとそれ以上の年齢層で上昇し、労働市場の供給が緩んでいることを示しています。
住宅ローン金利は先週末に方向転換
住宅ローン金利は先週初めに上昇しましたが、最新の非農業部門雇用者数が12月の賃金の伸びが予想より弱いことを示唆し、週明けには低下しました。先週木曜日に発表されたフレディマックの週次30年固定金利住宅ローン(FRM)は前週から6ベーシスポイント(bps)上昇したとモーゲージニュース・デイリーが報告しました。
- 日次平均30年FRMは、賃金上昇率の数値が軟化しましたことを受けて急降下
- 12月の雇用統計の賃金要素がインフレの冷え込みを示唆した為、国債利回りは低下
- 10年債利回りは16bps低下し、2年債利回りは19bps低下。
- 先週末の金利先物市場では、2月のFOMCで25bpsの引き上げ、3月にさらに25bpsの引き上げの可能性が67%と評価
2022年の住宅ローン申請件数は、26年ぶりの低水準
12月後半に住宅ローン金利が上昇し、2022年12月30日に終わる週の住宅ローン申請件数は2週間前より13.2%減少しました。全体の申請件数は1996年以来の低水準に落ち込んだ金利が2021年の約2倍で推移したため、購入申込は前年同週比42%減、借り換え申込は前年比87%減と大幅な減少を記録しました。インフレ懸念が収まれば、今後数週間で金利はさらに改善する可能性がありますが、年内はパンデミック時代の水準で高止まりする可能性が高いと推測されます。住宅購入者にとって住宅の値ごろ感は引き続き課題であり、住宅販売活動は少なくとも2023年前半は軟調に推移すると思われます。
住宅センチメントは年末に上昇に転じた
10月に過去最低を記録し、11月に横ばいとなりました。ファニーメイの住宅購入センチメント指数は、住宅価格が緩やかになり始め、住宅ローン金利が緩和し始めました。12月に上昇した「住宅ローン金利の見通し」「雇用減少の懸念」「購入状況」の3項目は、同指数を構成する6項目のうち、12月に堅調に改善し、指数を押し上げて「買い時」と答えた人の割合は、前月の16%から21%に上昇したものの、1年前の26%を下回る水準にとどまりました。「売り時」と答えた人は11月の54%から51%に、2022年12月の76%から減少しました。
2023年1月9日付 CALIFORNIA ASSOCIATION OF REALTOR発表のレポートを和文抄訳し筆者が加筆修正を加えたものです。内容の真偽については、原文を優先してください。