2025年11月カリフォルニア州不動産マーケットレポート

はじめに

新年早々、ロサンゼルス郡で4つの大規模火災が発生し、数千人が避難を余儀なくされるなど、南カリフォルニアは大荒れの一週間となりました。この壊滅的な大火災は、1万棟以上の建造物を焼却し、米国史上最も甚大な被害となりそうです。ここ2、3日で状況は若干改善されたものの、今週はさらなる強風が予想されるため、危険はまだまだ収まりそうにありません。一刻も早く鎮火することを願うとともに、皆様のご無事を心よりお祈り申し上げます。

California Real Estate Latest Market Data Jan 2025

ロサンゼルス郡で発生した山火事の影響

壊滅的な山火事が南カリフォルニアを席巻 ロサンゼルス郡で発生した山火事により、ここ数日で1万件近くの家屋が焼失し、18万人近くに避難命令が出されました。この災害による壊滅的な被害は、LA市場の住宅活動の後退につながり、当面の間、当地域の住宅販売は停止するはずです。被災都市の住宅需要の回復には時間がかかりますが、LA市場全体としては春の住宅購入シーズンの後半には回復に向かうと推測されます。数千戸の住宅が失われたことで、被災地とその周辺地域の住宅供給は引き締まり、住宅需要が回復し始める今年後半には、周辺地域の住宅価格に上昇圧力がかかる可能性があります。賃貸住宅への需要が急増するため、今後数カ月で周辺地域の家賃は上昇するでしょう。被災地の経済活動は、少なくとも今後6ヵ月は鈍化するでしょうが、再建が始まる2025年末から来年初めには回復するでしょう。L.A.の山火事は南カリフォルニアの保険危機を深化させ、住宅所有者の保険料上昇につながる可能性もあります。

12月の住宅購入マインドは前月より低下するも、1年前の水準よりは依然高い

ファニーメイが発表した12月の住宅購入意欲指数は前月比1.9ポイント低下。同指数は11月より若干低下し73.1となったものの、2023年12月の67.2からは5.9ポイント上昇。平均30年固定金利が12月上旬以降上昇を続けていることから、「今が買い時」と答えた消費者の割合は先月1ポイント低下し22%。最近の上昇にもかかわらず、消費者は2025年の住宅ローン金利の方向性については楽観的で、回答者の42%が今後12ヵ月間の金利低下を引き続き予想。前月の45%から低下したものの、2023年12月の31%を大きく上回りました。しかし、最新の雇用統計後に金利が急上昇したため、1月の調査では金利の方向性に関する消費者心理がさらに後退する可能性があります。

12月の雇用者数は予想を上回る伸び 12月の非農業部門雇用者数は25万6,000人増加し、2024年3月以来の高水準となりました。先月の雇用者数の増加は、ダウ・ジョーンズのコンセンサスが予想した15万5,000人を上回りました。雇用増加の大半は、ヘルスケア(4.6万人増)、レジャー・接客業(4.2万人増)、政府機関(3.3万人増)でした。小売業も、11月に2万9,000人減少した後、4万3,000人増加しました。製造業(-1.3万人)は、11月に2.5万人増とまずまずの回復を見せたものの、先月は再び落ち込みました。失業率は意外にも改善し、12月は前月比0.1ポイント低下の4.1%となり、コンセンサス予想を0.1ポイント上回りました。雇用創出が堅調であったため、平均時給は前月比0.3%増、前年同月比3.9%増となりました。労働市場の力強さが予想を上回ったことで、1月下旬に予定されているFOMCでの利下げは見送られ、3月の金利下方修正も疑問視されています。

住宅ローン金利は上昇傾向

好調な雇用統計を受けて住宅ローン金利が急上昇 12月の雇用統計が予想を上回り、住宅ローン金利が上昇。米経済がコンセンサス(15万5,000人)より1万人近く雇用を増やしたことから、市場はFRBが今後2回の会合で利下げを一時停止すると予想し、このニュースは債券利回りと住宅ローン金利を上昇させました。10年物国債の利回りは10ベーシスポイント(bps)強上昇し4.8%、30年固定金利住宅ローンの平均は雇用統計発表後の過去2日間で11bps上昇し7.26%。水曜日には12月の消費者物価指数が発表される予定で、住宅ローン金利は今後1週間でさらに変動する可能性があります。

短期インフレの影響

短期インフレに対する消費者期待は不変も、離職率は低下 ニューヨーク連銀の最新の消費者期待調査によると、12月の消費者のインフレ期待は短期的には前月と変わらず、中期的には上昇、長期的には低下。1年後の2024年のインフレ予想中央値は3.0%で、11月と同水準、2023年12月の3.0%から横ばい。住宅価格の上昇率は3.1%で、前月および前年同月の3.0%からやや上昇。労働市場への期待はまちまちで、今後12ヵ月間に職を失う可能性は11.9%と前月から1.6ポイント低下したものの、1年先の予想所得増加率の中央値も2.8%と0.2ポイント低下。また、現在の仕事がなくなった場合に仕事が見つかる確率の平均値も11月の54.1%から12月は50.2%に急低下。このシェアは2021年4月以来の低水準で、求職者が求人の有無に不安を感じていることの表れかもしれません。

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2025年1月13日,CALIFORNIA ASSOCIATION OF REALTORS®の記事を元に、筆者が和文抄訳し加筆修正を加えたものです。内容の真贋については原文を正として取り扱いください。