はじめに
年初来、消費者は売買に前向きな姿勢を示しており、カリフォルニア不動産協会（C.A.R.）が発表した最新の住宅市場レポートも楽観的な見方の改善を反映しています。2月は需給ともに増加し、春の住宅購入シーズンに向けて市場の競争力が過熱しているようです。ここ2、3週間はインフレ率が予想を上回り、金利が再び上昇に転じたため、当面は住宅購入者に逆風が吹く可能性があります。
3月の住宅市場は売れ行きが緩やかになるかもしれませんが、インフレが緩和の兆しを見せ、金利が再び低下傾向に転じたことから、住宅購入シーズンの後半には住宅需要が回復するはずです。
住宅供給はさらに改善しているが、今後数週間は鈍化する可能性あり
州レベルの有効物件数は11ヵ月ぶりに前年同月比で増加し、当月の増加幅は過去12ヵ月で最大となりました。これは、市場が春の住宅購入シーズンに近づくにつれ、住宅供給が正しい方向に向かっていることを示す心強い兆候です。また、新規の売り物件も、売りに出される売主の増加に伴い、2ヶ月連続で前年同月比2桁増となりました。しかし、最近の住宅ローン金利の上昇傾向により、売り手候補は金利が再び緩やかになるまで家を売りに出すのを控えるため、今後数週間は供給の流れが鈍る可能性があります。
カリフォルニア州住宅販売、過去17ヶ月で最高水準に
年末の住宅ローン金利低下による勢いが2月も継続したため。2月のカリフォルニア州中古一戸建て住宅販売件数は290,020件で、1月の257,040件から12.8%増加、12ヵ月前の286,290件から1.3%増加。州レベルの販売保留件数は、住宅ローン金利が2ヵ月ぶりの高水準に上昇したため、2021年5月以来の前年同月比プラスを記録した後、2月はマイナス2.6％と後退。2月を通して金利が上昇したため、住宅購入シーズン後半に持ち直す前に、3月には販売完了の増加ペースが鈍化する可能性があります。
1月の住宅価格中央値は前月より下落するも、年間では再び上昇
カリフォルニア州の2月の住宅価格中央値は、前年同月比で大幅な上昇となりました。カリフォルニア州の住宅価格中央値は先月806,490ドルで、1月の789,480ドルから2.2％上昇、2023年2月の735,300ドルから9.7％上昇しました。前年同月比では2桁近い上昇となり、8ヵ月連続で前年同月を上回りました。また、中古一戸建て住宅の中央価格が80万ドルを超えたのは過去11ヵ月で10回目。住宅価格上昇の主な要因は住宅供給の逼迫ですが、高価格帯の住宅がより多く販売されたことも2月の価格上昇を大きく押し上げた要因のひとつです。
消費者インフレ率、2ヵ月連続で予想上回る 2月の消費者物価指数（CPI）は前月比0.4%上昇、前年同月比3.2%上昇
エコノミストは、先月の指数がそれぞれ0.3%、3.1%上昇すると予想していました。ガソリン価格は前月比3.8％上昇したものの、前年比では3.9％下落。シェルター・コストは引き続きインフレを押し上げましたが、先月は冷え込み、オーナー相当の家賃は前月比「わずか」0.4％増と、1月に記録した0.6％増よりペースが鈍化しました。コアCPI（食品とエネルギーを除くインフレ率）は2月、年率換算でわずかに低下し、12ヵ月前比3.8％の上昇となりました。
同指数はエコノミストの予測値3.7％を上回り、2ヵ月連続で予想を上回るインフレとなりました。今回の報告書に反映された物価上昇率は、米連邦準備制度理事会（FRB）が次回会合で利下げを急がず、静観するという戦略を強化するものと思われます。
2月の小売売上高は回復
個人消費は、1月の改定値1.1%減の後、2月は前月比0.6%増と回復。前年同月比では、小売売上高は1月の横ばいから1.5%増加。ガソリン価格の上昇と自動車販売台数が2月の売上高を押し上げたが、建築資材や園芸用品の回復も先月の個人消費を押し上げました。
「外食・酒場」は引き続き個人消費全体に貢献し、売上高は前月比0.4％増。小売売上高の前月比急増は、過去5ヵ月で最も速いペースであり、消費者がまだ完全に引き上げる準備ができていないことを示唆しています。一方、1月の売上高が下方修正されたことは、小売売上高が減速しており、今年後半にはさらに減速する可能性があることを示唆しています。労働市場が堅調に推移していれば、消費者は買い物を続けるでしょう。
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3.18.2024 |CALIFORNIA ASSOCIATION OF REALTORS®を元に、筆者が和文抄訳し加筆修正を加えたものです。内容の真贋については原文を正として取り扱いください。