カリフォルニア住宅最前線レポート

カリフォルニア州は、全米でも非常に高い住宅費と教育者の採用・確保の難しさという2つの危機が交錯しています。その問題をどのように解決していくかをUCLAの都市デザイン教授であるDana Cuffを中心としてthe Center for Cities + Schools (UC Berkeley), cityLAB(UCLA)ならびにthe Terner Center for Housing Innovation (UC Berkeley)が新しい街づくりの提案”Education Workforce Housing in California”を提唱しています。日本ではまだ馴染みがない取り組みなので、紹介していこうと思います。

Education Workforce Housingは、Local Educational Agency(地方教育機関)が所有する土地に建設される手頃な価格の従業員住宅を指します( Local Educational AgencyにはK-12公立学校区と郡教育庁が含まれます )。LEAの従業員には、教師、管理人、バス運転手、管理者などの資格のないスタッフが含まれます。これらの従業員グループは、LEの所有する土地に市場価格以下の住宅に住む権利を得ることができます。

地方教育機関(LEA)は 、住宅建設に利用できる広大な土地を所有しています。LEAは、学校のキ ャンパスからバス発着場 、利用されていない空き地まで、さまざまな種類の土地を所有していることが多く一方、これらの教育従事者が手頃な価格の住宅を見つけることは 、ますます困難になっています。

カリフォルニア州は住宅コストが高いため、初任教師や資格のない職員の多くが住宅市場から退出しています。公立学校職員の3分の1以上が家賃負担者(収入の30%以上を家賃として支払っている)です。

多くの教育機関の職員は、職場と同じ地域に住むことができず、長い通勤時間を余儀なくされたり、教育システムから完全に切り離されたりしています。カリフォルニア州では、教師の離職率と不足が大幅に増加し、すでに資金繰りが悪化している学区の経費を増大させ(新任教師の研修には最高2万ドルかかる)、生徒の学力も低下しています。また、教師の配置の問題にも人種間の格差があり、教育の公平性の格差を広げている。低所得の生徒や歴史的に十分な教育を受けていない生徒を多く受け入れているLEAは 低所得の生徒や歴史的に十分な教育を受けていない生徒を多く受け入れている地域は、教師の離職率が高く、基準以下の資格を持つ教師の割合が高い傾向にあります。

これを解決するのがエデュケーション・ワークフォース・ハウジングの発想です。

現在カリフォルニア州内には、46の地方教育機関が所有する83の用地があり、住宅開発のための調査が行われています。これらのプロジェクトは、公募によるものから、建設途中のものまで、さまざまな段階にあります。これらがそのプロジェクト例です。

これは、教育と地価の関係についての話ですが、今後単身高齢化社会が訪れる日本、アジア諸国でも新しいコミュニティや住宅の発想が生まれるかもしれません。

本文はEducation Workforce Housing in CaliforniaTHE HANDBOOKを和文抄訳し、筆者が加筆修正及びコメントを加えたものであり、内容の真偽については、原文を優先してください。