カリフォルニア州は全米で最も多様性に富んだ州ですが、同州の住宅危機は、若い世代、有色人種コミュニティ、そして一般的な賃貸住宅居住者にとって重要な課題を高めています。CCREは、USCソル・プライス公共政策大学院の人口統計学者ダウエル・マイヤーズと人口動態研究グループと共同で、カリフォルニア州民の幸福度を向上させる効果的で公平な政策の核心に迫る独自の調査により、これまで未解明だった住宅危機の側面をカバーする” Who Gets to Call California Home?”と題する研究を実施しました。約2万字のレポートを2000字で要約してみました。
カリフォルニア州は、歴史的な住宅不足に直面している。このことは一般的に認識されているが、その定義や測定方法はもとより、何が不足を深刻化させているのかについては、結論に至っていない。このリサーチでは、雇用の伸び率、住宅建設の伸び率とのギャップに基づき調査を行っています。年間のギャップは、大不況からの回復が最も急だった2016年以前が最も大きく、2019年まで続いています。住宅供給不足は累積し、価格は上昇し続けるのは、特にミレニアル世代の影響が大きい。一的に世帯を形成し、住宅所有をする年齢時に、賃貸住宅に住んでいた彼らが全米の住宅を購入する平均年齢よりも約5年歳を取ってから一斉に住宅購入を希望してきたことが、需要を押し上げたことが要因となっています。カリフォルニア州民にとって、この住宅不足は多くの影響を及ぼしている。この報告書の著者は、全米50の大都市圏における住宅不足と住宅事情を比較し、カリフォルニアの大都市圏を比較の対象としています。
筆者は、このレポートのキーポイントを11挙げています
1, 若年層の自立が遅れている。世帯形成の遅れと、住宅不足が深刻化する状況との間に強い相関関係があることを示す証拠である。この報告書によると、黒人やラテンアメリカ系の若年層は、白人よりもさらに深刻な影響を受けている。
2, 住宅不足は、居住者が都市部で直面する家賃や物価の上昇、コスト負担の増大と密接に関係している。
3, 費用負担の増大は、世帯形成率を低下させ、親やルームメイトとの二重生活や、車中泊、あるいはそれ以上の生活を強いられる人々が増えることを意味する。
4, コスト負担が大きいと、持ち家率も下がる。全米50の大都市と比較すると、カリフォルニア州の35歳から44歳の成人の持ち家率が低くなっている。
5, カリフォルニアの大都市と他の大都市の間で最も差が大きいのは、白人世帯である。このグループの持ち家率は、他の多くの都市では非常に高いが、ロサンゼルスとベイエリアでは異常に低い。
6, 高齢者と若年者の住宅所有率の世代間格差も白人世帯で最大であるが、高齢者と中年者の住宅所有率の格差はアフリカ系アメリカ人で最大である。この問題は全国的なものであるが、特にカリフォルニア州、ロサンゼルスでは深刻である。35歳までに住宅所有に到達する率が低いと、将来の住宅所有への軌道は低くなり、白人、黒人、ラテン系、アジア系の住民の間では、それ以前の世代よりも低い率で頂点に達している。このような軌跡は、カリフォルニア州では米国全体よりもはるかに低い。このことは、カリフォルニア州の将来の持ち家率が、米国平均よりも10ポイント低い54.8%にとどまっていることを暗示している。
7, 住宅不足の状況下では、限られた機会を得るために競争が激化する。家賃や物価の上昇に加え、住宅の絶対数が不足しているため、多くの人が住居を持たずに生活することを余儀なくされている。このような機会不足は、住宅市場に新しく参入した若年層や市外からの移住者、経済的資源が最も乏しい人(黒人やラテン系)、より一般的な賃貸人など、最も弱い人々に不釣り合いに大きくのしかかる。
8, 賃貸住宅居住者が住宅取得の機会減少の影響を受けている。購入希望者は、賃貸住宅に住み続けることを余儀なくされている。一般に高所得者層が中低所得者層と競争することになり、賃貸需要が増大する。1980年以前に建設された住宅は、高所得者向けの住宅となり、低所得者向けの住宅はほとんど残されていない。これは、賃貸市場の状況を大きく悪化させ、低所得者層が完全に住宅から追い出される可能性がある。
9, 中所得者層、つまり市場価格の賃貸住宅が不足すると、中所得者層はより低いレベルの賃貸住宅を探さなければならなくなり、家主も新しい住宅が供給されない隙間を埋めるために物件を改良するようになる。その結果、限られた低コストの賃貸住宅をめぐって競争する賃借人に、より大きなプレッシャーがかかる。
10, 手頃な価格の賃貸住宅を提供するためのフィルタリングプロセスは、カリフォルニア州でも全米でも、この10年で崩壊してしまった。2010年以前は、低所得者層から中間所得者層へと、賃貸住宅の築年数が経過するにつれてフィルタリングが行われていたが、全米でミレニアル世代の需要が増加により、フィルタリングが逆転し、低所得者層への機会を増やすのではなく、より所得の高い賃貸住宅へと上方シフトしている。
11, 2010年と2020年の国勢調査における人種の変化で示されるように、住宅機会の不足により、中所得世帯は立地条件の良い、黒人やラテンアメリカ人が多く住む地域を探すようになった。また、LAダウンタウンやLAウェストサイド近郊の立地の良い地域では白人が増え、LA郡東部や南部のオレンジ郡ではアジア人が増えている。
本記事は、CENTER FOR CALIFORNIA REAL ESTATEの公のレポートを和文抄訳し、加筆修正を加えた物です。内容の真偽精査は下記URLの原文を優先してください。
興味がある方は、ウェブサイトにて原文をご確認ください。
https://www.ccre.us/_files/ugd/e2712f_eac7181061c84df2a5adc6e16f1ae198.pdf